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RPA導入の進め方

この記事では、これからRPAを社内で導入しようと考えている方に向けて、RPA導入の進め方について解説します。

RPA導入のステップ

一般的に、RPAは以下のステップで導入する事になります。

1.RPAに関する学習
2.導入する業務の決定
3.業務設計
4.導入ソフトウェアの決定
5.設計・開発・テスト
6.移行・教育
7.導入
8.改善・導入範囲拡大

以下では、それぞれのステップについて、具体的に解説していきます。

RPA導入のステップ①:RPAに関する学習

最初に、社内でRPAの導入を担当する人が、RPAについての最低限の内容を学習する必要があります。

「どこまでの内容について、学習が必要か」という事については、「導入を、どこまで自社だけで行うのか」や「RPAで自動化しようとしている業務の難易度」などによって異なります。

しかし、最低でも、「RPAとは、どのようなものなのか」といったイメージが持てている事は必要ですし、その結果、この後のステップが理解できる水準までは学習が進む必要があります。

具体的な学習方法としては、
・本などの教材で学習する
・詳しい人に説明して貰う(質問させて貰う)
・RPAに関するデモンストレーションを見せて貰う
・実際にRPAを自分で触ってみる
などがあります。

お勧めの学習方法は、最低限の内容を、「本などの教材で学習」した上で、RPAに詳しい業者に頼んで、「RPAに関するデモンストレーションを見せて貰う」という方法です。

そして、デモンストレーションの際に、自分が理解出来ていない点については、質問攻めにして、自分なりに理解してしまうのがお勧めです。

「本などの教材での学習」については、かなり人によって向き・不向きがあります。全くストレスなく学習が進められる人もいれば、少し学習しただけで、つまずいてしまう人もいます。

問題なく学習が進められる人は良いのですが、もし、ストレスを感じるようであれば、それ以上の無理はしない事をお勧めします。

事前の学習があった方がデモンストレーションを見て得られるものが多いのは確かですし、適切な質問も可能とはなります。しかし、無理をして学習を続けるほどの意味はありません。百聞は一見にしかずと言いますが、RPAについて理解したければ、実際にデモンストレーションを見たり、質問してしまった方が早いのです。

なお、一番、実力がつくのは「実際にRPAを自分で触ってみる」という学習方法なのですが、これまでシステム開発に携わった事がある方を別とすれば、あまり、この方法はお勧め出来ません。

なぜならば、初心者向けのRPAの教材で学習できる内容と、実際の業務で活用できるRPAの導入で必要となる内容には大きな差があるからです。そして、少し試して解った気になるのは、何も知らないよりも悪いケースが多いのです。

一般的な業務システムの世界でも、コンピューター言語の入門書に載っているプログラムを勉強しただけでは、業務システムが実際に開発できるようにはなりません。この事にピンと来ない方は、必要以上にRPAを独習しない事をお勧めします。

なお、このステップで目指すべきなのは、「この後のステップを進める為に必要なだけのRPAについての知識が身についている」という状態です。それ以上の学習を目指す必要はありません。

RPA導入のステップ②:導入する業務の決定

最低限のRPAについての知識が身に付いたら、次は、「社内の、どの業務にRPAを導入するのか」という事を検討するステップとなります。

RPAを導入する業務の選択にあたっては、「RPAによる自動化と相性が良い業務かどうかを見極める」という事がポイントになります。

RPAは、どのような業務の自動化にでも向いている訳ではありません。RPAは自動化の手段の一つに過ぎない訳ですから、RPAが向いていない業務であれば、RPA以外の手段も検討するべきです。RPAにこだわるべきではありません。

また、RPAを導入する業務の範囲については、「かなり広めの範囲を設定した上で、最初に導入する範囲は狭く設定する」という進め方をお勧めします。

RPAをユーザーが使いこなすには、通常のシステムを導入する場合とは、また、違った難しさがあります。この為、最初からRPAを広い範囲に導入しようとすると、うまくいかない事が多いのです。ですから、最初は狭い範囲に絞って導入を行う事をお勧めします。

その一方、導入後の事を考えずに導入してしまうと、後で導入範囲を広げる際に無駄な開発が発生したりする事が良くあります。ですから、導入範囲を広げた後の事も見据えて、導入を行った方が良いのです。

このあたりの「導入する業務の選択」や「導入範囲の見極め」は、RPAを始めて導入される会社において、「導入が成功するかどうか」に大きく影響するところです。可能であれば、RPA導入に詳しい専門家の意見を聞く事をお勧めします。

なお、最初から導入したい業務が決まっている場合には、「その業務の自動化にRPAは適しているのか」という事を判断するステップとなります。前述の通り、RPAと親和性が良くない業務に無理矢理RPAを導入するような事は避けるようにして下さい。

RPA導入のステップ③:業務設計

導入する業務が決まったら、次は、業務の設計(修正)です。すなわち、「RPAを業務にどのように組み込むのか」という事を考えるステップとなります。

これは、「RPAに、どのような処理を行わせるのか」という事と、「人や他のシステムとRPAを、どのように連携させるのか」という事の両方の検討を含みます。

RPAの導入では、通常のシステムと比べ、「既存業務の修正が少なくて済む事が多い」という特徴があります(それがRPAのメリットの一つです)。

とはいえ、「RPAをどのように業務に組み込むのか」という事の検討は必要ですし、場合によっては、RPA導入による効果を最大限に発揮できるよう、業務を少し変更した方が良い場合もあります。

業務設計の難易度は、決して低くありません。可能であれば、このステップは業務設計とRPAの両方に詳しい専門家に手伝って貰う事をお勧めします。

RPA導入のステップ④:導入ソフトウェアの決定

RPAに任せる内容が決まった後には、「どのようなRPA用のソフトウェアを導入するのか」を決める必要があります。

具体的な製品としては、これから日本でRPAを導入される場合、以下の2製品から選ぶ事になるケースが多いでしょう。

・WinActor(NTTデータ社)
・UiPath(UiPath社)

この2つの製品は、日本での導入事例も多く、また、導入経験のあるベンダーも多い為、安心感があるからです。

基本的には、「性能(機能)」と「費用」で決める事になりますが、案件によっては、「サポート体制」「国際対応」などが選定の決め手になる事もあるでしょう。

また、それぞれのソフトウェアを使いこなす為には、各製品に習熟している必要があります。この為、開発に従事するベンダーが既に決まっている場合には、そのベンダーが日頃から導入に活用している製品を選ぶ事をお勧めします(勿論、性能面などの問題がない事は、ベンダーに十分に確認するようにして下さい)。

RPA導入のステップ⑤:設計・開発・テスト

次は、RPAで動くものを実際に作るステップとなります。

詳細な手順は、導入するRPA用のソフトウェアによっても異なりますので、詳しい説明は省きます。しかし、一つだけ注意点を書いておきますと、自社で開発するのであれ、ベンダーに依頼されるのであれ、「業務に耐えられる水準のものを作る」という点には気をつけて下さい。

初心者向けのRPAの解説書のようなものだと、何も考えずにキーボードやマウス操作を学習させれば、RPAに関する開発が終了するような解説がされている事があります。しかし、そのような開発で問題が起きないRPAの導入は、本当に一握りです。

実際の業務の中にRPAを組み込む際には、人が目で見て無意識に行っているようなチェックを処理の中に組み込む必要があります。また、システム的な例外が発生した場合の処理も組み込む必要があります。

そのような処理がしっかりと組み込まれていないと、何か問題が発生した場合に、それに気がつかずに処理が進んでしまい、大きなトラブルになってしまう事があります。

RPAであっても、「従来のシステム導入と同じような考え方による設計・開発・テストは必要である」という事は意識するようにして下さい。

RPA導入のステップ⑥:移行・教育

次が、導入に向けた最終準備となります。導入する日程を決め、実際の業務にRPAを導入する為の準備を行います。

必要となる準備は、導入内容によって様々ですが、例えば、RPAがデータなどを参照しながら処理を行う場合には、そのデータを準備(移行)する必要があります。

また、今後、RPAの運用に関わる社員に対する教育も必要になる事でしょう。

RPA導入のステップ⑦:導入

ここまでのステップの後、ようやく、実際の導入(本番稼働)となります。

稼働直後は、トラブルが発生する事もありますので、動作を十分にチェックしながら見守るようにして下さい。また、問題が発生した場合には、すぐに対応できる体制を組んでおきましょう。

RPA導入のステップ⑧:改善・導入範囲拡大

最後は、導入されたRPAの改善と導入範囲の拡大です。

最初は、既存の業務を単純に自動化しただけでも良いでしょう(その方がトラブルなく導入できるケースも多くあります)。しかし、それで満足するのではなく、導入されたRPAを改善していく事で、より業務のレベルをあげていく事が可能となります。

また、社内がRPAに慣れてきたら、導入範囲を広げていく事を検討するようにして下さい。それにより、人が関与しなくても自動的に業務が進む範囲が広がり、業務の効率化が一気に進むようになります。

RPAは、導入後の改善が大切です。導入して終わりではなく、「最終目標は、会社全体の業務の効率化・改善である」という視点で、RPAの改善・業務範囲の拡大を進めていくようにして下さい。

RPA導入の進め方のポイント

RPAの導入を成功させる為には、各ステップで着実に作業を進めていく事が大切です。

自社で開発を行うにせよ、外部のベンダーに開発を依頼するにせよ、各段階で適切な作業が行われていない場合、導入が失敗してしまう可能性は一気に高まります。

前述の通りではありますが、RPA導入のステップの中で、特につまずく事が多いのは、以下のようなポイントです。

  • RPA学習のハードルが高く、最初の段階でつまずく。
  • 対象業務や範囲を適切に設定できず、RPA導入が進まない。
  • 難易度が高い為、RPAを組み込んだ業務の見直しが完了しない。

※RPAの導入失敗については、次の記事も参考にして下さい:RPAの導入失敗

RPA導入で必要となるスキルは、決して低いものではありません。また、実際に業務で通用するレベルでRPAの開発が出来るようになるには、これまでシステム開発を行ってきた技術者であっても、それなりの時間が必要になります。

導入を失敗させてしまっては元も子もありませんし、準備に時間がかかりすぎた場合、RPA導入による効果は小さくなってしまいます。

ですから、業務システム導入に詳しい専門家が社内に在籍しているような企業を除き、自社だけで進めようとはせず、RPAに詳しい専門家をうまく活用するようにして下さい。

予算の問題もあるとは思いますが、「開発は自社で行う代わりに、業務設計(見直し)については専門家に相談して失敗を避ける」など、コストを抑えながら専門業者を活用する工夫も可能です。

相談相手がいない場合には、当センターでも相談を承っております。ぜひ、ご活用下さい。

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