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RPAができること

この記事では、「RPAができること」について解説します。

「RPAができること」とは

RPAを導入すると、「人の代わりに、ソフトウェアロボットにパソコン業務を行わせる」という事が出来ます。その結果として、業務の自動化が実現されるのです。

そして、このソフトウェアロボットとは、パソコン内部で動作する「プログラム」と呼ばれるものの一種であり、事前に「どのように動作するのか」という事を教え込む必要があります。

ですから、RPAができることは、「ソフトウェアロボットと呼ばれるプログラムが、事前に教え込まれた内容に従って、パソコンに関する業務を行う」という事に限られます。

詳しい条件は後述しますが、RPAに何でも任せられる訳ではありません。

※RPAとは「パソコンを使う業務を自動化する為の、コンピューターに関する技術の一つ」です。RPAの定義などについては、別に記事を用意しています。

RPAができる事を判断する為の条件

RPAでは、これまで人が行うしかなかった業務のうち、以下の条件を全て満たした業務(作業)を自動化する事が出来ます。

1.パソコンで行う事ができる作業である
2.手順がマニュアル化できる(書き出せる)作業である
3.誰かの判断を仰がなくても終えられる作業である

なお、これらの条件を全て満たしていても、必ずRPAによる自動化ができる訳ではありません。細かい問題(主に技術的な難易度)から、自動化が出来ないケースも存在します。また、RPAの為に導入するソフトウェアの種類などによっても、できる事には差が出ます。

RPAが自動化できる業務の範囲

RPAが自動化できる業務の条件を読んで、「RPAが自動化できる範囲は広くないのではないか」と思われた方もいらっしゃるかもしれません。しかし、多くの場合、その理解は間違っています。

まず、一般の従業員が行うパソコン業務のかなりの割合は、前述の「RPAが自動化できる条件」を満たしているはずです。

また、前述の条件を満たしていない業務であっても、条件を満たしている部分のみをRPAによって自動化する事が可能です。

この為、一般の従業員の業務は勿論、役職者の業務であっても、RPAによって自動化できる業務は多く存在するのです。

応用的にRPAで自動化できる業務

なお、従来の業務をそのままRPAで自動化する事は不可能であっても、「業務の方を、RPAで自動化できるように修正する」という方法によって、RPAによる自動化を実現させる事が出来るケースもあります。

ただし、そのような対応を行う為には、業務変革とRPAの両方についての知識が必要となります。難易度は上がりますので、多くの場合、専門コンサルタントの関与が必要となる事でしょう。

また、RPA単体では自動化できない業務であっても、他の技術と組み合わせる事で、自動化ができる場合もあります。ただし、この場合も、連携させる技術について詳しい専門家の支援が必要となる事が多いでしょう。

RPAができないこと

「RPAができないこと」についても確認しておきましょう。

「RPAが自動化できる業務の条件」は、前述の通りです。ですから、基本的には、その条件を満たさない業務が、「RPAで自動化できない業務である」と考えて頂ければ結構です。

まず、「パソコンで行う事が出来ない業務」は、RPAで自動化する事が出来ません。また、「マニュアル化が出来ない業務」や「人による判断を必要とする業務」も自動化出来ません。

RPAで自動化できない業務の代表例は、「新しいアイデアを生み出すような業務」や「直感で意思決定するような業務」などです。

ただし、表面だけをみて、「この業務はRPAによる自動化ができない」とは考えないようにして下さい。

一見、RPAによる自動化が難しそうに見える業務であっても、実はRPAで扱う事が出来るケースは多く存在します。例えば、「人による判断が必要」と考えられてきた業務であっても、その判断基準を明確化する事で、RPAで扱えるように出来るケースもあります。

これまでのパソコン業務の自動化との比較

「既存のパソコン作業の自動化に関する技術」との比較も行っておきましょう。

これまでのパソコン作業の自動化は、「シンプルな(定型化された)画面操作」や「単一のアプリケーションソフトウェア内での処理の自動化」といった内容が中心でした。

これに対し、RPAでは、「画面に表示されている内容についての高度な認識」や「入力に関する高度なエミュレート機能(人による入力作業の模倣)」などの機能を活用する事によって、従来は「人の目」で見たり、「人の手」で操作したりしないと出来なかったパソコンに関する操作を自動化する事が可能になりました。

また、RPAは特定のアプリケーションソフトウェアの為の技術ではありませんので、ソフトウェアをまたいだ作業(複数のソフトウェアを連携して行う作業など)も問題なく自動化する事が可能です。

「RPAができること」についての3つの誤解

また、RPAができる事については、次のような誤解が存在します。これらは、全て誤解であるとご理解下さい。

  • RPAでは、高度な判断業務まで自動化ができる。
  • RPAでは、人工知能(AI)による判断の自動化ができる。
  • RPAでは、システム開発に相当する作業がなくても自動化ができる。

高度な判断業務の自動化

まず、「高度な判断業務の自動化」についてですが、RPAはあくまで「業務の自動化」に関する技術であり、「人が行っている判断業務を機械に行わせる為の技術」ではありません。

ただし、前述の通り、判断基準を明確に出来るものであれば、RPAに組み込む事は可能です。この為、専門コンサルタントを活用して高度なRPAの導入を行う事で、ある程度の判断業務については、RPAで自動化する事が可能です。

RPAと人工知能(AI)の関係

また、同じ理由から、RPAと人工知能(AI)を一緒にする事も間違っています。RPAはあくまで「自動化」に関する技術であり、「知能」に関係する技術ではありません。

ただし、AIとRPAとの間には密接な関係があり、AIを業務に組み込む上で、RPAは重要な役割を果たします。AIとRPAがセットで導入される事も少なくありません。

※AIとRPAの関係については、別に記事を用意しています。

RPAにおけるシステム開発作業

最後に、「RPAにおけるシステム開発作業」についてですが、現時点では、「従来のシステム開発と同じく、RPAによって自動化を実現させる為には開発作業が必要である」と理解して頂きたいと思います。

RPAに関するソフトウェアメーカーの尽力もあり、システム開発能力を持たない人材でも、一定の自動化を実現できるような仕組みになっている事は確かです。この為に、「専門知識のない人材であってもRPAは導入できる」といった宣伝がされている事もあります。

しかし、業務で本格的に活用する上では、従来のような「システム設計」や「プログラミング」が出来る人材は必須となります。

RPAができない業務に人が集中する重要性

RPAを適切に導入する事が出来れば、「RPAができる事」は、RPAに任せる事が出来るようになります。その結果、人は、「RPAが出来ない業務」に集中する事が出来るようになります。

そして、それは事業をより強くする事に繋がります。

ですから、RPAが「できること」と「できないこと」をしっかりと見極め、「RPAができることはRPAに任せる」という判断が、事業の将来にとっては大切になります。

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